生活保護のメリットとは?受けられる扶助と免除される費用、申請前の注意点

公的支援 10min

生活保護のメリットは、最低限の生活費が毎月保障されること

生活保護のいちばん大きなメリットは、生活に必要な最低限のお金が毎月保障されることです。厚生労働省は、生活保護を「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を助ける制度と説明しています。

収入が最低生活費に届かない分が、保護費として支給される

保護費は、国が定める基準で計算した「最低生活費」と、世帯の収入を比べて決まります。収入が最低生活費に届かない場合に、その差額が保護費として毎月支給されます。最低生活費は、住んでいる地域や世帯の人数・年齢によって変わります。

厚生労働省の資料では、68歳の単身世帯の生活扶助基準額の例が示されています(令和8年10月1日現在)。東京都区部等で月77,980円、地方郡部等で月69,950円です。これは食費や光熱水費にあたる生活扶助の額で、家賃などは別の扶助として必要に応じて支給されます。

働いていても、年金があっても受給できる場合がある

「働いているから」「年金をもらっているから」という理由だけで、対象外になるわけではありません。厚生労働省のQ&Aでは、就労収入がある方でも、収入と資産が最低生活費に満たなければ受給できるとしています。この場合も、最低生活費から収入を差し引いた差額が支給されます。年金や手当などほかの制度で受け取れるお金は、先に活用することが前提です。

決まった保護は、正当な理由なく不利益に変更されない

生活保護を受ける方には、法律で定められた権利があります。厚生労働省は、要件を満たす限り無差別平等に受けられることを、受給者の権利として示しています。正当な理由がなければ、決定された保護を不利益に変更されることもありません。

8つの扶助で、生活に必要な費用がまかなわれる

生活保護の保護費は、生活の場面ごとに、8つの「扶助」で構成されています。必要な扶助だけが組み合わされて支給される仕組みです。

生活扶助と住宅扶助で、日々の生活費と家賃を支える

生活扶助は、食費・被服費・光熱水費など、日常生活に必要な費用です。年齢別の個人的な費用と、世帯人数別の共通的な費用を合わせて計算されます。寒い地域では、10月から4月のうち5〜7ヶ月間、冬季加算がつきます。障害者加算など、世帯の状況に応じた加算もあります。

住宅扶助は、アパートなどの家賃です。定められた上限の範囲内で、実際の家賃が支給されます。

医療扶助と介護扶助は、本人の負担なしで受けられる

医療扶助では、医療サービスの費用を福祉事務所が直接医療機関へ支払うため、本人の負担はありません。介護扶助も同じく、費用が直接介護事業者へ支払われ、本人の負担はありません。医療扶助では2024年3月からマイナンバーカードによるオンライン資格確認が始まっており、対応する医療機関・薬局では医療券・薬剤券の資格確認をマイナンバーカードで行えます。受診方法は福祉事務所の案内に従ってください。

教育・出産・生業・葬祭の費用も対象になる

義務教育の学用品費などは教育扶助、出産の費用は出産扶助として支給されます。仕事に必要な技能を身につける費用や、高校に通うための費用の一部は生業扶助の対象です。葬儀の費用も、葬祭扶助として定められた範囲内で支給されます。

扶助の種類対象となる費用支給のしかた
生活扶助食費・被服費・光熱水費など基準額を支給(加算あり)
住宅扶助アパートなどの家賃定められた範囲内で実費
教育扶助義務教育の学用品費など基準額(一部は実費)
医療扶助医療サービスの費用医療機関へ直接支払い(本人負担なし)
介護扶助介護サービスの費用介護事業者へ直接支払い(本人負担なし)
出産扶助出産費用定められた範囲内で実費
生業扶助就労に必要な技能の修得、高校に通う費用定められた範囲内で実費など
葬祭扶助葬祭費用定められた範囲内で実費

税金・保険料・受信料などの負担が軽くなる

生活保護を受けると、受け取るお金が増えるだけでなく、出ていくお金も減ります。ここでは、主な負担の変わり方を順番に説明します。

保護費には税金がかからず、差し押さえもされない

厚生労働省は、保護費に税金などがかからないことを、受給者の権利として示しています。すでに受け取った保護費や、保護を受ける権利が差し押さえられないことも、同じく権利として定められています。借金がある方にとっては、生活費そのものが差し押さえの対象にならない点が安心材料になります。ただし、借金そのものがなくなるわけではないため、返済に困っている場合は後述の相談先も確認してください。

国民年金保険料は、届出をすると法定免除になる

生活保護の生活扶助を受けている方は、国民年金保険料が免除される「法定免除」の対象です。日本年金機構によると、生活保護を受け始めた日を含む月の前月の保険料から免除されます。ただし、自動ではなく、住民登録をしている市区町村の国民年金窓口に「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を出す必要があります。

注意したいのは、免除された期間の老齢基礎年金の額です。平成21年4月以降の期間は、1ヶ月を2分の1として計算されます。将来の年金を満額に近づけたい場合は、あとから保険料を納める「追納」を、承認された月の前10年以内の期間について利用できます。

国民健康保険から外れ、医療は医療扶助に切り替わる

国民健康保険法では、生活保護を受けている世帯に属する方は、国民健康保険の被保険者にならないと定めています。そのため、国民健康保険料の支払いはなくなり、病院にかかる費用は医療扶助でまかなわれます。資格がなくなるときの手続きは、自治体によって異なります。たとえば静岡県浜松市では、生活保護を受けるようになった日から14日以内の届出を求めています。お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口で確認してください。

NHK受信料は、申請すると全額免除になる

NHKの受信料免除の基準では、生活保護法に規定する扶助を受けている場合は全額免除の対象です。こちらも自動ではなく、申請書を出して手続きします。申請書の受け取り方や証明の受け方は、お住まいの福祉事務所に確認するとスムーズです。

住民票の手数料や税金の減免などは、自治体によって異なる

自治体が独自に設けている減免もあります。たとえば茨城県土浦市では、生活保護受給証明書を出すと戸籍謄本や住民票などの発行手数料が免除され、市県民税は申請によって減免されます。対象となる費用や手続きの方法は、自治体ごとに違います。受給が決まったら、どのような減免があるかを担当のケースワーカーに一度聞いておくと安心です。

免除・減免の一部は自動ではない。申請・届出が必要なものの一覧

受給が決まっても、国民年金保険料やNHK受信料、自治体独自の減免などは、別途申請・届出が必要な場合があります。次の表で主な手続きを整理します。

内容手続き主な窓口
保護費に税金がかからない・差し押さえられない不要(法律で定められた権利)なし
医療扶助・介護扶助原則、利用前に福祉事務所へ相談・必要な手続き福祉事務所
国民健康保険の資格がなくなる自治体の案内に従って届出市区町村の国民健康保険窓口
国民年金保険料の法定免除届出が必要市区町村の国民年金窓口
NHK受信料の全額免除申請が必要NHK(証明は福祉事務所で確認)
住民票の手数料・税金などの減免自治体によって異なる市区町村の各担当課
法テラスの立替金の償還免除申請と審査が必要法テラス

とくに国民年金とNHK受信料は、手続きをしないままにしていると請求が続いてしまう場合があります。受給が決まったら、表の上から順に確認していくと手続きのもれを防げます。

メリットとあわせて知っておきたい注意点

生活保護には多くのメリットがある一方で、受給中に守ることや、生活のなかで制限されることもあります。事前に知っておくと、受給を始めてから戸惑わずに済みます。

預貯金や車などの資産には制限がある

生活保護は、利用できる資産を生活のために活用することが前提です。厚生労働省は、預貯金や生活に使っていない土地・家屋などがあれば、売却などをして生活費にあてるよう求めています。自動車も原則として処分の対象ですが、障害のある方の通勤や通院に必要な場合などは保有が認められることがあります。

収入の毎月の申告と、ケースワーカーの訪問がある

受給中は、収入の状況を毎月申告します。また、福祉事務所のケースワーカーが年に数回、家庭訪問を行い、生活に関する指導に従う必要があります。働ける方には、就労に向けた助言もあります。

扶養照会が行われる場合がある

申請後、福祉事務所は扶養義務者の有無や援助の可能性を確認します。そのうえで、扶養が期待できると判断された親族などには、援助が可能かを直接照会する場合があります。一方、長期間の音信不通、著しい関係不良、DV・虐待などにより「扶養義務の履行が期待できない」と判断される場合は、基本的に直接の扶養照会を行わない取扱いです。扶養義務者による扶養の可否そのものは、保護の要否の判定に影響するものではありません。親族への連絡に事情がある場合は、申請時に福祉事務所へ伝えてください。

住宅ローンの返済は原則として認められない

厚生労働省は、住宅ローンがあることだけを理由に生活保護を受けられないわけではない一方、保護費から住宅ローンを返済することは原則として認められないと説明しています。借金の返済に困っている場合は、福祉事務所に加えて、法テラスなどの専門窓口への相談も検討してください。

生活保護を受けるか迷ったときの相談先

生活保護の相談・申請の窓口は、お住まいの地域を管轄する福祉事務所の生活保護担当です。福祉事務所がない町村では、町村役場でも申請できます。厚生労働省は「生活保護の申請は国民の権利」としています。生活保護が必要になる可能性はどなたにもあるため、ためらわずに相談してほしいと呼びかけています。

申請すると、福祉事務所は家庭訪問や資産の調査などを行い、原則14日以内に受給できるかどうかを判断します。ただし、調査に日時を要する特別な理由がある場合は、最長30日までかかることがあります。申請から保護が始まるまでの生活費がない場合は、社会福祉協議会の「臨時特例つなぎ資金貸付」を利用できる場合もあります。利用には条件があるため、必要な場合は福祉事務所や社会福祉協議会に確認してください。

借金の返済に困っている場合は、生活保護とは別に、弁護士や司法書士などの専門家への相談も検討してください。法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助では、弁護士・司法書士費用などの立替制度があります。生活保護受給者は事件終結まで立替金の償還を猶予される場合があり、事件終結後は申請・審査により償還が免除される場合があります。相手方などから経済的利益を得た場合は免除の対象外となるため、自動で免除されるわけではありません。詳しい条件は法テラスに確認してください。

携帯契約に困ったら即モバ

福祉事務所への相談も、ケースワーカーとの日程調整も、求職中の連絡も、電話番号がないところで止まってしまいます。受給が始まってからも、収入の申告や訪問の連絡、病院の予約などで、連絡のつく番号は頻繁に必要になります。

即モバは、他社で料金を滞納している方でも利用できる、NTTドコモ回線のSIMサービスです。本人確認はセブン銀行「+Connect」または佐川急便受取人確認サポートから選べ、申し込み時に電話番号がない方は、案内ページに記載された専用番号を利用できます。支払いはコンビニ払いとクレジットカードから選べます。

記事一覧に戻る